第8期介護保険事業計画におけるアウトカム指標の分析
調査概要
- 全国1,571の保険者(市町村 1,531 、広域連合 40)から無作為に200を抽出(市町村 194、広域連合 6)
- 「アウトカム指標」と考えられる記述を抽出 抽出は二人の研究者が実施し、異同があれば相談して決定
- 本研究における「アウトカム指標」の操作的定義
介護保険事業計画の実施によりもたらされる長期的な帰結のうち数値目標として設定されているもの
特定の事業の効果を測定するための指標(例 認知症予防教室の満足度や転倒予防教室実施後の握力など)は対象外 - 分析対象は199保険者
注意点
- 指標によっては、介護保険事業計画のアウトカム指標として適切かどうか検討が必要なものもある。
- 同じ指標でも設定の内容は保険者によって異なる。
- 引用される場合、「お問い合わせ先」にご連絡・ご相談をしていただくようお願いいたします。
※1 「新規申請者の平均年齢」などが含まれる。
※2 「転倒リスクを有する高齢者の割合」などが含まれる。
※3 「在宅療養者割合」、「在宅療養への主観的評価」などが含まれる。
※4 「地域とのつながりを感じている高齢者の増加」などが含まれる。
※5 「住まいに不安を感じている高齢者の割合」などが含まれる。
※6 「地域において何か活動している高齢者の割合」などが含まれる。
※7 「災害に対して、市民が不安なく暮らせるまちである割合」。
※8 「介護のため離職した人の割合」などが含まれる。
※9 「就労している高齢者の割合」などが含まれる。
アウトカム指標の例
全国の計画の中で「アウトカム指標」を設定している自治体の計画をピックアップしてご紹介いたします。
要介護認定率
要介護認定を活用した「アウトカム指標」としては、「65歳以上の新規認定者数 」「要支援認定者」「要介護認定率」「要介護度の悪化予防」「その他の要介護認定関係」などの指標がありました。
主観的健康状態 self-rated health status
「主観的健康感」あるいは「主観的健康観」に分類されるような「アウトカム指標」を設定している保険者もありました。
主観的幸福感
調査で幸福かどうかを尋ねる質問に対してどのように回答したかをもって「主観的幸福感」を定義し、その割合が増加することを目標とする保険者もありました。
要介護リスクの低下
要介護リスクの低下を目標とする保険者もあった。要介護リスクとしては、運動習慣、運動機能の低下、転倒、閉じこもり、抑うつ、認知機能の低下、咀嚼機能の低下、歯の数、フレイル等の指標が用いられていました。
社会参加
社会参加をしているかどうかを「アウトカム指標」として設定している保険者もありました。
健康寿命・平均自立期間
健康寿命、もしくは平均自立期間を目標としていた保険者もありました。
自立高齢者割合
健康寿命や平均自立期間だけではなく、自立している高齢者の割合を目標とする保険者もありました。
在宅療養
在宅療養をしている人の割合 (「在宅療養率」) 、在宅療養ができると考える人 (あるいはその逆に不安な人) の割合、在宅療養を希望している人の割合等、在宅療養関係の「アウトカム指標」を設定する保険者もありました。
住居や暮らしやすさ
住居や暮らしやすさに関する「アウトカム指標」として、「住まいあるいは生活全体に対する不安」「高齢者に配慮した環境や保健・医療・福祉の充実度」「住まいの希望、選択」「住み続けたいと思うかどうか」「移動に関する困りごとがないこと」などがありました。
ソーシャル・キャピタル
地域とのつながりを感じている住民の割合、地域の支え合いとして自分にできることがあると感じている住民の割合、助け合うことができる人がいると感じている住民の割合、福祉が充実し、住民が守られていると感じる住民の割合など、ソーシャル・キャピタルに分類できるような「アウトカム指標」を設定している保険者もありました。
「生きがい」がある人の割合
在宅死亡数・割合や在宅看取り数・割合
在宅死亡数・割合や在宅看取り数・割合を「アウトカム指標」として設定している保険者もありました。
生活習慣病関係
メタボリックシンドロームや肥満といった生活習慣病あるいはそのリスクを高める状態である住民の割合を目標とする保険者もありました。
終末期医療に関する相談
終末期医療に関連した「アウトカム指標」を設定する保険者もありました。
就労
権利擁護
災害
災害に関しては「災害に対して、市民が不安なく暮らせるまちであると回答した割合」という目標を設定している保険者もありました。
介護者関係
よく詳しい情報については、「厚生労働省令和3年度老人保健事業推進費等補助金「介護保険制度の実施状況に係る全体像把握のためのツールを活用した研修プログラムの開発等に関する調査研究事業」(実施:医療経済研究機構)」をご参照ください。
https://www.ihep.jp/publications/elderly-search/